頑張れ。 | Patissier(パティシエ)@MJの今日も90%

頑張れ。

Experience is the best teacher.《経験は最善の教師である》


今日、一人のパティシエが巣立ちました。


一緒に頑張ってきたパティシエが今日で退職。

現在24歳の男です。

彼は2年半前の2月に僕の働くホテルに求人募集の広告を見てやってきた。
(もちろん面接は僕が行いました。)


当時21歳だった彼はホテル勤務志望にも関わらず赤いシャツを着ており
髪の毛はあまり整えて来なかったのを覚えています。


22歳で現職のチーフとなった僕にとっては
コイツ本気でやる気があるのか?」と訝ってみていましたが、
洋菓子に興味を覚え、高卒後の働いてたのイタリアンレストランの契約社員を辞め
「自分の手で美味い菓子を作ってみたい」の言葉に嘘は感じられず採用した。


彼の入社当時はまともな挨拶や返事が出来ず、おまけに声が小さくよく僕に怒られてました。
又、自分を除く先輩職人はパティシエール(女性パティシエ)しかおらず
毎日ビクビクしながら仕事をしていましね。(何に恐れていたのかは聞かないでおくけど)



年末になり我々パティシエの最も熱く過酷なクリスマスを乗り越え、
任せられる仕事も増えてきて、後輩も何人か付いた。


自分に自信を持った彼は逞しく感じられるようになった。

「あーコイツにならじっくり基礎も自分の経験も教え、ライバル?いやまだ早い。いいパートナーにはなるだろうと」思っていました。


だが彼は夢を持ち始めた。
「もっと経験を積み重ね、いつしかビストロを開きたい!」と。

製菓業界から一旦抜けるが一から料理を学び、独立に向けてけじめを付けたいと。


その言葉を聞いた僕は、僕が思っていたよりもっと逞しくなっていた。


正直「後2、3年…」すればパティシエとして恥じない技術は持てただろうと思う。


しかし彼が自分で決めた道を僕が止めるわけには行かないです。
彼に「本気が見えたから。」


本音を言うともうチョット一緒に仕事はしたかった。
ペストリースタッフのみんなも同じだと思う。



冒頭で書いた、
Experience is the best teacher.《経験は最善の教師である》
は送別会にみんなで贈った色紙に書いた僕の言葉です。


ホテルで培った知識と技術を自分にぶつけてくれ!

たった2年半だが君は確実に成長したぜ!。


縁が切れるわけでは無い(と思っています)。


頑張ってください。S君!